11月15-16日にかけて山形県小国玉川、荒川に遠征してきました。
昨年に続き二度目となる彼の地は、秘境の清流というよりは、蒼い珊瑚礁と白浜を持つ南国のビーチのような佇まいでした。小国玉川の透明度は限りなく高く、四万十川の支流黒尊川に匹敵すると表現する人もいます。残念ながら黒尊川には行ったことがないので比べようもありませんが、吊り橋下には白砂が広がり、碧い水とのコントラストは見る人すべてを感動の渦に引き込みます。
玉川upperエントリーポイントの吊り橋下。
lowerのゴルジュ。水深が深く、透明度が高いので、光が複雑に反射して幻想的な色合いを醸し出しています。
去年は秋の長雨の間隙をぬっての薄曇の状況下でのDRでしたが、今年はいくぶんピークは過ぎたものの、紅葉と晩秋の晴天の下という理想的な条件でカヤッカー聖地の一つを下ることが出来ました。ひとつだけ残念だったのは水位が低かった事です。鱒止めの正面、おにぎり岩で比較すると昨年の状況より70cm-100cm程度水位が低かったようです。こういう渇水状況でも、新潟大学探検部のラフトを見つけた時には大変驚きました。
スタート地点のコバルトブルーの川面に全員大感激するものの、明らかに少ない水位に不安がよぎりました。新潟大学探検部の皆さんの話によると、当日よりもまだ水位が低くてもラフトで下った経験があるそうで、「大丈夫デス」というコメントをもらい一安心。回送とtake -out地点の地主さんへの許諾とご挨拶に時間がかかり、探検部の若者に遅れること1時間、やっと出発しました。
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昨年は玉川発電所対岸よりエントリーしましたが、
今回は玉川発電所より上部のUpperからチャレンジしま
した。
写真を見るとたおやかな流れを連想してしまうかもしれませんが、
小国玉川は高低差があり、落ち込み、アンダーカット、シーブも散在してます。又、
ルートも一気に狭窄し、選択肢が多くありません。
後半部途中のゴルジュ帯の入り口は鋭角なV字型でラフトが挟まっ
てしまうのではないか、
と思われるぐらい突如として絞り込まれます。
左からロミさん、さちちゃん、サスケさん。
玉川は鱒止めの瀬が核心部となります。今回は今後のためにupperを中心にビデオでしっかり撮影しようと思っていましたが、まさかのバッテリー切れで、作戦変更。テクノロジーに頼ることなく加齢によって能力が落ちつつある頭脳にポイントを焼き付けることにしました。Upperについては今回の水位で問題になるようなポイントは特にありませんでしたが、昨年並の水位では要注意ポイントが数カ所ありました。鱒止めの瀬についても、昨年と比較するとパワーが全くなかったので、正面のおにぎり岩を気にせずにスルリと余裕で降下出来ました。
鱒止めの瀬を下る。ロミさんが左側の大岩手前に引っかけたものの、全員無事通過。
アングルは違いますが、昨年増水時に下った際撮影した同じポイントの写真です。今年の水位だと、パワーは激減。余裕を持って下れますが、鱒止めの瀬では過去カヤッカーの死亡事故が起きています。増水時は十分注意してください。
パワーも水位もないのでラフトはきつそうだった。新潟大学探検部の話によると正面のおむすび岩が隠れるような増水でも下ったことがあるらしい。増水時には険悪なキーパーホールが出現するとのこと。
小国玉川は
例えるならば関東で言えば桂川に高低差を付け、何倍も綺麗したイメージの川です。
今回は渇水ということで、印象としては昨年と全く違ってマイルドで適度なスリルのある楽しい川でしたが、春先の増水期間はそれはそれはすさまじいらしく
残念ながらカヤッカーの死亡事故も起きているようです
。現地の方の話ですと、
数年前に外国人のプロカヤッカー方3名が5月にDRの途中で沈脱
し、カヤックは下流のダムで発見されたそうです。
大事には至らなかったようですが、
かなり危ない状況だったらしく、
地元は大騒ぎになったと聞きました。
基本的に難度は低くない川ですので、
事前の情報収集と安全確認は徹底しなければならないと思います。
携帯はスタート地点はもとより、玉川と荒川の合流地点の国道113号付近まで下っても通じませんし、国道、県道含め
付近一帯は主要キャリアすべて携帯電波は圏外です。向方貝橋より下流は深く急峻な渓谷が続き、上陸も困難なため、
渇水期とはいえ今回は万が一に備えてハンディートランシーバーを持参してDRし
ました。
又、スタート、ゴールの選定も非常に悩むところですが、
上流の中里公民館から向方貝橋なら車を止めて私有地を横切ること
なく川へはアクセスできます。区間は短いですが、
ポイントで遊びながら下るには十分です。
鱒止めはこの区間よりさらに下になります。
川へアクセス出来そうな私有地は殆ど立ち入り禁止の札がでており、こちらに来られるカヤッカーは、地主さんにちょっとしたお土産を持って駐車と川へのアクセスの許可を得てから駐車、回送しているようです。我々も地主さんにご挨拶にお邪魔して、許可を得てから車を止めさせて頂きました。
サスケさんも瀬に遊ぶ。
いつもの防水ビデオサンヨーCA65に加えて、今回は防水のハンディートランシーバーが首からぶら下がってます。安全対策用だったのですが、思っていた以上に便利でした。
玉川も所々に落ち込みがあります。こちらも昨年と比較すると大幅なパワーダウン。
①サスケさんのカメラは連写出来ます。
②
③
④
赤芝峡に入るところは落ち込みがあり、楽しい瀬になっています。去年は大きなスタンディングウェーブの印象が強かったのですが、渇水時の印象は全く違います。
赤芝峡に入ってしまえばゴールまでトロ場が続きます。
赤芝峡はtake-outが大変です。これで一気に疲れます。葦が鬱蒼と茂る草むらを進むのは思っている以上にエネルギーが消費されます。
一泊二日の小国玉川、荒川ツアーはあっというまに過ぎてしまいました。同行したメンバー全員が来年もここに戻ってくる、と強く心に念じながら彼の地を後にしました。