2007年11月10日土曜日

山形県小国玉川、荒川を下る-小国玉川編

形県小国町は、朝日連峰、飯豊連峰の間に位置するブナの森と落葉広葉樹林に包み込まれた町だ。町の中心に南から流れ込む玉川は飯豊連峰に端を発する透明で今まで見たことがない美しい川だった。僕もそれ程多くの川を下ったわけではないが、国内で下った川の中では小国玉川はその景観と水質、瀬のリズムでMyベストリバーと宣言したい。



2007年11月3,4日についに憧れの小国玉川、荒川へ行く機会に恵まれた。今回は噂のダッキーチーム、あひるBROSのTake, Tetsu両名の川バカに加えてラフティングクラブからビョンホン、漣ねーさん、さっちゃんが参加した。 初日は玉川をくだり、小国のロッジで宿泊、翌日は荒川という予定を組んだ。

毎回川へ出向く度に自分が出来る最低限のこととして、ゴミをビニール袋一杯分拾う事にしているが、今回10Km程の玉川ダウンリバーでとうとうひとつもゴミを見つけることが出来なかった。醜悪なタバコの吸い殻も、河原に火傷の痕を残すBBQや焚き火の痕跡も何も無かった。人里からさほど遠くない川であることを考えると奇跡と言える。日本人として大切に守っていきたい川である。

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あひるのTake-sanとはここ1ヶ月ほぼ毎週お手合わせ願っているが、相方のTetsu-sanとお会いするのは今回初めて。初対面とは言えTetsu-sanともTake-san同様川遊びの姿勢が一緒なので、話が合う。道の駅で簡単な朝食を済ませ、早速玉川に向かった。前日までの雨の余韻が残り、気温は10度を割る肌寒い朝だが、水量は適度に増水しておりコンディションは悪くない。put-in地点の放水口で全員ドライスーツを着込み、川と自然への畏敬を込めて「お願いします!」と一礼してから玉川に身を委ねた。

今回は既に小国玉川を何度かダウンリバーしているTetsu-sanがリバーガイド役を引き受けてくれた。玉川は当日の水位(若干の増水とのこと)ではClass III(ISRDの定義を基準。)だが、鱒止めの瀬などのボウルダーシブ(boulder sieve)はなかなか手強く、ポーテージする人も少なくないトリッキーなポイント。又、ゴルジュ帯へ入る前の川幅が10M程度あるが、いきなりスルース(sluice)に突入しスカウト出来ぬまま一気に川幅4M程度に収縮し、ゴルジュの回廊は100M程続く。逃げ場の全く無いゴルジュにストレーナーがある可能性もあり、増水後は特に注意が必要だ。

Tetsu-sanの話によると、玉川を下る際には必ず直近で下った人に状況を確認してからダウンリバーするとのこと。Tetsu-sanは2週間前にここを下り、その後気象に大きな変化がなかったのでリスクの判断が出来たが、下ってみて彼の説明には納得した。荒天時は水路が狭窄なためストレーナーが簡単に、しかも完全にルートを塞ぐ可能性が高く逃げ場が全くないので、事前の情報収集、準備には細心の注意が必要だ。このページにポストしてある動画を見ていただければ状況を理解頂けると思う。小国玉川へ向かわれる方は、現地の事情に精通した人と行く事を強く勧めたい。因みに携帯電話は主要3社ともこの区間は全く使えなかった。色々な意味で綿密な準備と注意を要する川であることは間違いない。

既に冠雪している飯豊連峰から流れる小国玉川は、リバーガイド、リバーバディー無しで下るのは無謀だ。その点ではガイドを務めてくれたTatsu-san無しでは成立しないリバートリップだったと言える。Tetsu-sanにはあらためて感謝したい。

橋脚からの眺望。 背後の山々は既に冠雪するも、紅葉は通年より数週間遅いと聞く。前日の雨により水量は多いとのこと。 無条件に心の中に飛び込むしっとりとした日本的な秋の景色。





Take-san撮影。左からビョンフォン、Tetsu-san、小生、さっちゃん、漣ねーさん。


今回のパーティー唯一の集合写真。


曇っていた天気も一時好転。


スタート地点から左右にうねるような瀬を越えると川は急に狭窄となり、ゴルジュの岩場に囲まれる。







瀬で戯れる。Take-san撮影。



ダウンリバーのハイライト、鱒止めの瀬。全長約100Mの二段仕込みのボウルダーシブ。上部、一段目の瀬は特に注意を必要としないがその先を行き止まりのように塞ぐアンダーカットの岩と全く見えない左側に抜けるルートはパドラーを威圧し、プレッシャーを与える。当日の水量だとコース取りを間違えなければ特に難度は高くないが、ラップの可能性もあり、全員でレスキュー体制を整えTetsu-sanと小生がまず最初に下った。

まずは一段目の瀬をクリアして右側のエディーに入り、そこから対岸の左岸にある写真正面の岩を左に巻きながら直下の正面にあるアンダーカットの壁から90度左ターン。以下連続写真はTake-san撮影。相変わらず絶妙のタイミングでのシューティング。鱒止めの瀬でのスカウティングは必至。ポーテージも可能。 リジットだとポーテージする人も少なくない区間との事。水量が増すとこの区間は直角に曲がる水路に行き着く前に正面の壁に張り付きそうである。あひるBROSのTake-sanTetsu-sanも当日の状況を記事にしているので参考にして欲しい。

鱒止めの瀬の後半部。ビョンホンの左にある岩が下記小生の①中央、Tetsu-san②の右側の石となる。ビョンフォンは鱒止めの瀬を一機に下った。正面を阻むアンダーカットの岩も無事クリア。


写真は鱒止めの瀬の二段目。見ての通り波が複雑に反射している。①写真中央の岩を左周りに巻きながらその下にある落ち込みへ向う。

① 写真中央の岩ターゲットに、この岩を巻き込むようにターン。


②岩裏に押し込むように左一杯に回旋 を始める。


③出口のルートがこの辺りからはっきり見えてくるが、この先にも落ち込みとルートを塞ぐ比較的大きな岩がある。


④この先に続く落ち込みとルート正面を塞ぐ壁に張り付かぬように 細心の注意が必要。




複雑な波がパドラーを惑わすも余裕で下るTetsu-san。同じ鱒止めの瀬、二段目。上の僕の撮影ポイントより若干上部。僕の写真①にある岩が②の写真の右側にある岩だ。③は瀬の上部からはブラインドになっている鱒止めの出口ルート。

① Tetsu-sanは小生より高い位置で早めに方向を変えているように見える。


② 競技スキーをずっとやっていたせいか、ターンの写真をどうも見比べてしまう。Tetsu-sanと小生のルート取り、アプローチの差にそれぞれの個性を感じる。


③ ターゲットの岩を通過後、早めに左にターンする。この出口が区間上部からは完全にブラインドとなっている。
漣ねーさんとさっちゃんのトムキャットはコース取りを誤り、シブの目に詰まるように石の間にロックインしてしまった。写真上の彼女達が乗る岩とその左側の小岩の間にスタックし、この場でトムを無人のままリリースし正面のアンダーカットへ向かわせた。 その後トムは正面のアンダーカットに吸い込まれることもなく、無事に左側の水路にそれて回収された。

鱒止めの瀬。ビデオだとどうも迫力が伝わらない。







秋色の中でのパドリングは実に気持ちがいい。 Tetsu-san撮影。


透明な水に皆驚く。



Take-sanとJET。景色に溶け込む。



ゴミ、臭いなど全く無かった。限りなく透明度の高い水。 JETも違いが判るか?



瀬のリズムがいい。山梨の桂川を1000倍綺麗にしたイメージかな。閑話休題。桂川、大好きなんですが、あの匂いはなんとかならないものか。





川面に写る紅葉が美しい。水の美しさは筆舌に尽くし難し。パドラー達の小国玉川の評判には納得。ぜひ一度この川でパドリングして欲しい。 本当に素晴らしい川です。



スタート直後の瀬。緩やかな落差のある瀬ではあるが、左右にクランクしながらゴルジュへ続く。大健闘するもこの後彼女達に起きた出来事は続くビデオで水の美しさと一緒に確認してください。 Take-sanのすばらしいショット。彼のダイナミックな写真には本当に関心させられる。


Banditにザクティーを装着して漣ねーさん、さっちゃんを追う。フットレストとして使っているスウォートにマウントした防水のザクティー。マウントの仕方には随分悩んだ。パドリングしながらの撮影には皆さん相当苦労しているようだ。シューティングポイントが目線より低いので実際に下る瀬の迫力とは少し違った印象を受ける。(頭から波を被るような所でもその迫力が表現されていない。)上記写真の瀬も頭から波を被るようなClassIIIだが、ビデオからの印象はClassII+程度。この印象の差を縮めることが今後のビデオ撮影の課題。




今回のパーティーの殿(しんがり)として最後に漣ねーさん、さっちゃんを追いながら撮影。スウォートの上にある白い物体が防水のザクティー。艇にマウントするのに苦労した。これについては別記事で。


Posted by Picasa

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