2009年6月28日日曜日

ついに黄金の1マイルを下る:福島県桧枝岐川Middle区間

ールデンウィークにS字ねりじの滝をこの目で間近に見てその迫力にノックアウトされてから一ヶ月半、心に誓った屏風岩から下流の区間を遂に下ることが出来ました。しかも前夜から降り続いた雨で褐色の増水状態。屏風岩付近は春先の雪代が多い時期とそれ程変わらないくらい水かさは増していました。しかし漕ぎ始める直前に雨があがり、危ぶまれた天候は増水という置き土産を残して落ち着きを取り戻しました。大山鳴動鼠一匹、結果的には最高のコンディションの中でのダウンリバーが実現しました。


S字ねじりの滝の全貌です。


最初の落ち込み。写真でみると迫力が今ひとつ伝わりませんが、実物は凄まじいです。


目の前は囂々とうねりながら瀬が音をたて、屏風岩の柱状節理の目前に広がる落差の激しい川床をシュートしていきます。このMiddle区間は、いきなり核心部の降下から始まります。今回はカエルアドベンチャーさんのツアーですので、残念ながら堰堤は下らないというJSCAの規約に従うと、S字ねじりの滝をツアーで下ると言うことなど到底不可能です。しかしこのS字ねじりの滝は確かに凄いのですが、よく見ていると降下のラインが見えてきて下れるような気持ちになってくるから不思議です。ヤラレンジャーの話では滝が瀬に見えるようになったらいざ出発といった感覚らしいです。今回はヤラレンジャー以外は降下出来ませんでしたが、次回プライベートで出撃する際はS字ねじりに挑みたいと思います。



S字ねじりの滝は1段目をドロップすると川下に向かって左側にそこそこの大きさの岩が二つあります。我らがアウトウィッター、ヤラレンジャーによると、この岩が隠れていると完全な増水で、この後の黄金の1マイル降下は今回のようにチャレンジングなものとなります。逆に岩頭が出ているならば、区間難度はそれ程でもないとの話です。(とはいえ増水した今回のコンディションでは同じく増水した桂川や那珂川上流那須地区と比較しても難度は高いと思います。那珂川上流那須地区のクリークを何の問題もなく下れる今回の参加者も、パワーと落差の大きな瀬に結構やられてしまいました。)

桧枝岐川Middle区間 from Acton on Vimeo.



今回Middle区間を降下した善男善女はいつもクリーク系のツアーで必ず集結するメンバーです。へたっぴカヤッカーさん、府中人さん、南極3号さん(凄まじいリバーネームです。この名前をOKしたS女史の勇気に敬意を表します。彼女の経歴を知っている人からは想像つく謂れですが、実はそれ以外に深い意味が隠されていることを昨日教えて頂きました。本人をご存知なら赤面せずにぜひ直接聞いてください。)はなちゃん、小生、そしてヤラレンジャーの6人のパーティーです。このメンバーはクリーク系のツアーには必ず顔を出すので、最近はカエルクリークチームとも呼ばれているようです。




四季を通じて比較的水量が安定している御岳などと違って、桧枝岐川のような雪深い土地を流れる川は春先の狂気の一時期とそれ以外の時期にほぼ二分出来ます。今回は直前まで降り続いた強い雨による増水ということもあり、本来ならば雪代がまだ残るものの安定期に近い水量のはずでしたが、春先の狂気の時期と同じ程度の水量でした。したがって川相の印象は4-5月の増水時期の印象に近いと思われます。この前提での区間難度は、落差が相当ある落ち込みや、ブラインドになった瀬、降下するかしないかは別として複数の核心部の難度を考えるとやはり相当高いと言えます。仮に増水ではなく通常水位だったとしても、明らかに桂川や那珂川上流那須地区よりも最低1ランク難度は高いと思われます。今回は数回下見をして、安全確認をしたガイドのヤラレンジャーがしっかりサポートしてくれたので我々はチャレンジしても安心して下れましたが、春先の増水時期を狙う方は十分注意した方がいいと思います。




さてMiddle区間ですが、里遠くして人煙幽か。まさに秘境です。印象はLowerの漕ぎ出し地点と同様に山形県小国玉川と雰囲気が非常に似ています。川の透明度は大雨で土が入り漕ぎ出しは褐色でしたが、平常時の様子は昨日のLower同様に透き通る美しさと思われます。ここ毎年必ず小国玉川で漕いでいますが、秋の小国玉川は絶対的に美しいのですが、いかんせん首都圏からは遠い。4-5時間はかかるでしょうか。一方桧枝岐川へは首都圏から3時間前後でアプローチ出来、完全な日帰り圏です。この区間を個人でアプローチするにはなかなか難しいので、カエルアドベンチャーさんのようにしっかりしたアウトフィッターがツアーを企画すれば桧枝岐川はブレイクする予感がします。

川岸の木々は殆ど落葉樹でしたので、秋の紅葉の時期はそれは凄いことになっていると容易に想像がつきます。黄金の一マイルの本当の姿は秋に現れると思います。難度は決して低くない区間ですが、核心部は殆ど回避出来るし、ドロップとブラインドがやたら多いこの区間をよく理解してサポート体制、安全面の確保を万全にすれば、これほど楽しくエキサイティングな川は関東近郊にはないと思います。今回参加者全員大満足のツアーでした。


桧枝岐川へはいくつかの支流が流れ込みます。そこそこの大きさの滝も2,3ありましたが、透明度の高い非常に美しい水が流れ込んでいます。



秋にはこの景色が文字通り黄金色に染まっているでしょう。秋に必ず戻ってくると誓った瞬間です。



昼食を食べる頃には青空が見え始めました。


途中で深い渓谷に入っていきます。午後になって濁りはだいぶ取れました。



しかし核心部はまだまだ続きます。



心配された天気も途中で快晴に転じました。増水かつ快晴。この条件は今年4月末に那珂川上流那須地区大増水で下った時と全く同じです。那須地区の増水は巨大なホール祭りでしたが、今回はブラインドドロップ祭りです。素晴らしいリバーランニングと一緒に降下したリバーバディーに乾杯!秋にまた皆で行きましょう。それから漕ぎ残しているUpperとS字ねじりの滝も制覇しましょうね。






2009年6月27日土曜日

桧枝岐川(伊南川)Lowerを下る

枝岐川と聞いてピンと来る人は殆どいないのではないでしょうか。伊南川はどうでしょう。やはりあまり知られていない川に属すると思います。地図を見ると福島県と栃木県の県境にある帝釈山脈を源流に実川、桧枝岐川、伊南川と名前を変えていく川であることが分かります。遙か昔の小学5年の夏に伊南川へ家族旅行した記憶があります。当時はクーラーもまだ普及しておらず、暑くて眠られなかった。元来その程度の印象の川でした。何十年も経つと記憶は退化して暑いか寒いか、旨いか不味いか...極めて感覚的な事しか残らないものです。伊南川が自分の中で再活性したのは伝説の七厘会のブログを見てからです。S字ねじりの滝、1時間続く4+の瀬。雪代を湛えた荒れ狂う川。すっかり魅了されてしまいました。そしてそれから時は経ち、ついに桧枝岐川へ出撃するチャンスが廻ってきました。

今回はいつもお世話になっているカエルアドベンチャーさんの緊急企画ツアーで6月20日、21日の二日間でLowerとMiddleを下りました。七厘会のブログで有名なUpperはツアーの難度を越えているということで今回は見合わせとのこと。残念。


より大きな地図で 伊南川(桧枝岐川) を表示

個人的には春先の桧枝岐川新潟県の清津川は関東のホワイトウォーターでは別格、横綱級の憧れの川でした。この二つの川は雪代が川に溢れるゴールデンウイーク前後の狂気が有名で、一般的にはこの時期の桧枝岐川、清津川は非常に難度の高い川というのが通説です。実際に今年5月の連休に目視した桧枝岐川は日本離れしたド迫力で、川岸から見る岩の配列といい、落差といい、見ただけで悶絶する区間でした。聞きしに勝る川相にヒューズが全部飛んでしまい、それ以来降下のチャンスをずっと窺っていました。このクラスの川になると安全面に配慮し、技量を備えたメンバーを揃え、スケジュールを調整するのが難しく夏までに出撃出来るか不安に思っていた矢先のカエルアドベンチャーさんのツアー発表。発表と同時に間髪入れずに申し込みした事はいうまでもありません。

カエルアドベンチャーさんは今回のツアーのために何度か現地下見を重ねてツアーとして企画してくれました。一番熱が入っていた僕のためのツアーだと思ってます。本当に有り難い話です。




高畑スキー場より下流の区間、桧枝岐川 Lowerの動画オムニパスです。



さて、20日土曜日はLowerを攻略。メンバーはヤラレンジャーさん、はなちゃん、小生の三人です。6月後半とは言え、山々にはまだ残雪が残り雪代も入っているようですが、川相はだいぶ落ち着きました。結論から言うと、この区間はお薦めです。小生の印象は「小国玉川まで遠征しなくても、こんな身近な所に小国玉川があった!」です。漕ぎ出しの川相は小国玉川と良く似た印象を持ちました。丸みを帯びた河原の石も小国玉川のそれとそっくりです。難度も小国玉川とほぼ同じだと思います。唯一の違いは落差です。ここは瀬のは突然ドーンと落ち込みます。しかし険悪という程ではありません。瀬の下には適度な瀞場があり、安心して下れます。気になるポイントは途中で大きな落ち込みの瀬の先にログが川の半分を占めている地点があります。流れがログに向かっているので失敗出来ない瀬です。(ポーテージは可能です。)瀬のリズムは緩急バランスよく塗されていて、気持ちよくリバーランニング出来ます。スタートの鱒滝下は渓谷の趣ですが、ゴールに近づくにつれて川幅も広がり、人家が見え隠れするような里川の趣に変わってきます。山梨の桂川を下れれば問題なく降下出来る区間で、核心部をポーテージしていけば比較的幅広いレベルの方が楽しめると思います。


スタート地点。正面の橋は高畑スキー場へ続く橋。



スタート地点。雪代がまだ入っているからか、水温は低い。



ポンポンと落ち込みのリズムが続く。



川岸は落葉樹が陣取っています。秋の紅葉の時期は楽しみな川です。


手頃な瀬が続きます。


桧枝岐川は意外と近く感じました。首都圏から3時間前後ではないでしょうか。桧枝岐川の中でも手軽に楽しめるこの区間は、これから人気が出そうです。

2009年6月22日月曜日

【総括】ついに伝説の桧枝岐川(伊南川上流)を下る:清冽と増水濁流の2本立て

いに伝説の福島県桧枝岐川(伊南川上流)に出撃してきました。桧枝岐川は3つの降下区間に分かれます。6月20日(土)は鱒滝より下流の区間、Lowerを降下、21日(日)は屏風岩から鱒滝までのいわゆる「黄金の1マイル」と呼ばれる伝説のMiddle区間が設定されました。

20日土曜日は梅雨の合間の晴れ。5月の連休期間中に見た桧枝岐川は雪代を湛え荒れ狂うような川相でしたが、今回は厳しい瀬はいくつかあるものの、総じてしなやかで非常に美しく、リズムのいい流れでした。この区間は透明度が高く、所々ピリ辛の瀬や落ち込みはありますが瀬の後に必ず瀞場があり、漕ぎやすいセクションと言えます。全体の印象としては難度は御岳より上で桂川クラスですが、核心部は桂川よりも桧枝岐川の方がレベルは高いと思います。核心部はポーテージ出来るし、易しい瀬も沢山あるので核心部を避ければ比較的幅広いレベルのカヤッカーが楽しめる区間です。


より大きな地図で 伊南川 を表示

一方、「黄金の1マイル」と呼ばれる桧枝岐川Midleセクションは翌日の日曜日に初降下しました。この区間を下った記録は色々調べても見当たりませんでした。伝説の七厘会が下った区間はこの区間より一つ上の桧枝岐温泉スキー場から屏風岩までの区間で、桧枝岐川Upperとなります。Upperは難度がかなり高いらしく、ツアーとしての成立しないというのがカエルアドベンチャーさんの判断です。そう言われてしまうとますます興味津々です。秋までにUpperも攻略しようと思います。

さて、21日日曜日は前日夜半より降り続いた雨により、桧枝岐川は褐色の増水状態でした。春先の増水には若干及ばないものの、相当増水しており当日の水位では増水状態の桂川那珂川上流那須地区と比較しても難度は1ランク上の川相でした。この区間は正に秘境、人煙を見かけることはありません。瀬はブラインドになった落差の激しいドロップ、パワフルなバックウォッシュが散在しており、増水でパワーを増した川と格闘しながらの降下となりました。

カエルクリークチームはヤラレンジャーさんを除いて増水した川に多少翻弄されましたが、アドレナリンレベル4+の忘れることの出来ない素晴らしいツアーだったと思います。5キロ程度の区間距離ですが注意深くスカウティングしたため、スタートが10時半、ゴールが4時でした。平常水位はもう少し楽に下れるとのことですので、念のため。

福島にはこんなに素晴らしい川があるのに、あまり知られていないのは残念です。しかしこんなエキサイティングな川でツアーを成立させたカエルアドベンチャーさんには感謝です。ガイドのヤラレンジャーさんが何度か下見をした上で安全を確保しての降下ですので、チャレンジしても心強いです。桧枝岐川のような秘境にあるクリークは、カエルアドベンチャーさんのようなアウトフィッターのガイドなしでアタックするのは難しいとつくづく感じました。

Middle区間は、入渓すると川面を覆うばかりの落葉樹に気がつきます。桧枝岐川は紅葉の時期には渓谷一帯が燃えるような色に染まる川となることでしょう。

以下は初日のLower区間のオムニバスです。Animotoで作成しました。





高畑スキー場より下流の区間、桧枝岐川 Lowerの動画オムニパスです。


二日目のMiddle区間のオムニバスです。


桧枝岐川Middle区間です。スタート時点は増水で川が褐色に染まっていました。気がつけば昼前後には快晴になり、川の濁りも落ち着いてきました。この区間は大きなドロップが沢山あり、洗礼を受けながらの降下となりました。

桧枝岐川Middle区間 from Itsuo Iso on Vimeo.


































2009年6月15日月曜日

大川地獄の瀬:そしてその後に地獄の階段、地獄の渋滞が...

6月14日は福島県の大川ダム下流に遠征してきました。本来は月末に控えた伊南川Upper(檜枝岐川)アタックに備えて奥多摩の日原川に出向く予定でしたが、水が少なく断念。急遽川相は檜枝岐川と全く異なる大川に出撃しました。大川ダム下から芦ノ牧温泉までの定番の区間です。大川と言えば、地獄の瀬。地獄の瀬と言えば大川。最近ご一緒させて頂く機会が多い、S女史の言葉を無断で借りると地獄の瀬、地獄の階段、そして地獄の渋滞...。いったいどんなリバーランニングだったのでしょうか。(作成中:続く)
 







2009年6月12日金曜日

黄金の1マイルを降下!:伊南川降下区間の変更

よいよ来週末は伊南川へ遠征です。当初の計画では初日が舘岩川との合流地点をスタートにDR。2日目は高畑スキー場から舘岩川との合流地点までの計画でした。ところが先ほどカエログを見たら舘岩川との合流地点からのDRの代わりに屏風岩から鱒滝の、黄金の一マイルと呼ばれる区間に変更になっていました。舘岩川合流地点からのDRは利根川の月夜野、沼田の区間と良く似ていて、ビックウェーブなんですが前回も下っており実はあまり...でした。ですので、屏風岩(S字ねじりの滝)から鱒滝への区間変更には狂喜乱舞、感涙ものです。既に遠足を指折り数えながら待つ小学生のようにはしゃいでいます。

実は今回一番期待していたのは檜枝岐温泉スキー場から屏風岩の区間だったのですが、ヤラレンジャーさんの話によるとツアーには適さないとの事。確かにあの七厘会でさえ沈脱しながら降下して来た悶絶区間ですからね。ここはプライベートでのアタックに取っておくことにしましょう。


2009年6月6日土曜日

伝説の区間、伊南川Upperいよいよ出撃か

島県伊南川の舘岩川との合流地点より上流部は、七厘会のブログを読んでから取り憑かれてしまいました。小生のブログにもこの区間については何度か書いています。特に今春実際に目視してからは、その迫力に圧倒されてしまい夢にまで出てきます。この区間は川を一瞥して分かる程の標高差があり、激しい急流で流速が早く、大岩が鏤められた川面にはドロップ、ホールが点在して川一面真っ白でした。七厘会のブログには4+が一時間続くとありました。そしてあの伝説の核心部、S字ねじりの滝(屏風岩)に鱒滝。関東、東北南部で僕が今まで見てきた川の中では最強レベルです。春にスカウトして以来ほぼ毎日この区間の地図を眺めてすごしていました。ところが今朝方カエルアドベンチャーのHP.ブログを読むと、なんとこの区間を降下するツアーを開催するとのこと。雪代はだいぶ落ちついてさすがに4+が一時間ということもないでしょうし、S字ねじりと鱒滝はツアーで下れるような代物ではありません。しかしそれらを差し引いても伊南川をガイドするとは、これは凄いことです。何せアッパーを下ったという記録は七厘会以外目にした事がない手付かずの区間ですし、目視による難度は半端ではない悶絶区間でした。これは凄い! という訳でカエルアドベンチャーさんのツアーで6月20日出撃します。(因みにまだ申し込みは始まってません...。結構人気が出そうな予感。)