S字ねじりの滝の全貌です。
最初の落ち込み。写真でみると迫力が今ひとつ伝わりませんが、実物は凄まじいです。
目の前は囂々とうねりながら瀬が音をたて、屏風岩の柱状節理の目前に広がる落差の激しい川床をシュートしていきます。このMiddle区間は、いきなり核心部の降下から始まります。今回はカエルアドベンチャーさんのツアーですので、残念ながら堰堤は下らないというJSCAの規約に従うと、S字ねじりの滝をツアーで下ると言うことなど到底不可能です。しかしこのS字ねじりの滝は確かに凄いのですが、よく見ていると降下のラインが見えてきて下れるような気持ちになってくるから不思議です。ヤラレンジャーの話では滝が瀬に見えるようになったらいざ出発といった感覚らしいです。今回はヤラレンジャー以外は降下出来ませんでしたが、次回プライベートで出撃する際はS字ねじりに挑みたいと思います。
S字ねじりの滝は1段目をドロップすると川下に向かって左側にそこそこの大きさの岩が二つあります。我らがアウトウィッター、ヤラレンジャーによると、この岩が隠れていると完全な増水で、この後の黄金の1マイル降下は今回のようにチャレンジングなものとなります。逆に岩頭が出ているならば、区間難度はそれ程でもないとの話です。(とはいえ増水した今回のコンディションでは同じく増水した桂川や那珂川上流那須地区と比較しても難度は高いと思います。那珂川上流那須地区のクリークを何の問題もなく下れる今回の参加者も、パワーと落差の大きな瀬に結構やられてしまいました。)
桧枝岐川Middle区間 from Acton on Vimeo.
今回Middle区間を降下した善男善女はいつもクリーク系のツアーで必ず集結するメンバーです。へたっぴカヤッカーさん、府中人さん、南極3号さん(凄まじいリバーネームです。この名前をOKしたS女史の勇気に敬意を表します。彼女の経歴を知っている人からは想像つく謂れですが、実はそれ以外に深い意味が隠されていることを昨日教えて頂きました。本人をご存知なら赤面せずにぜひ直接聞いてください。)はなちゃん、小生、そしてヤラレンジャーの6人のパーティーです。このメンバーはクリーク系のツアーには必ず顔を出すので、最近はカエルクリークチームとも呼ばれているようです。
四季を通じて比較的水量が安定している御岳などと違って、桧枝岐川のような雪深い土地を流れる川は春先の狂気の一時期とそれ以外の時期にほぼ二分出来ます。今回は直前まで降り続いた強い雨による増水ということもあり、本来ならば雪代がまだ残るものの安定期に近い水量のはずでしたが、春先の狂気の時期と同じ程度の水量でした。したがって川相の印象は4-5月の増水時期の印象に近いと思われます。この前提での区間難度は、落差が相当ある落ち込みや、ブラインドになった瀬、降下するかしないかは別として複数の核心部の難度を考えるとやはり相当高いと言えます。仮に増水ではなく通常水位だったとしても、明らかに桂川や那珂川上流那須地区よりも最低1ランク難度は高いと思われます。今回は数回下見をして、安全確認をしたガイドのヤラレンジャーがしっかりサポートしてくれたので我々はチャレンジしても安心して下れましたが、春先の増水時期を狙う方は十分注意した方がいいと思います。
さてMiddle区間ですが、里遠くして人煙幽か。まさに秘境です。印象はLowerの漕ぎ出し地点と同様に山形県小国玉川と雰囲気が非常に似ています。川の透明度は大雨で土が入り漕ぎ出しは褐色でしたが、平常時の様子は昨日のLower同様に透き通る美しさと思われます。ここ毎年必ず小国玉川で漕いでいますが、秋の小国玉川は絶対的に美しいのですが、いかんせん首都圏からは遠い。4-5時間はかかるでしょうか。一方桧枝岐川へは首都圏から3時間前後でアプローチ出来、完全な日帰り圏です。この区間を個人でアプローチするにはなかなか難しいので、カエルアドベンチャーさんのようにしっかりしたアウトフィッターがツアーを企画すれば桧枝岐川はブレイクする予感がします。
川岸の木々は殆ど落葉樹でしたので、秋の紅葉の時期はそれは凄いことになっていると容易に想像がつきます。黄金の一マイルの本当の姿は秋に現れると思います。難度は決して低くない区間ですが、核心部は殆ど回避出来るし、ドロップとブラインドがやたら多いこの区間をよく理解してサポート体制、安全面の確保を万全にすれば、これほど楽しくエキサイティングな川は関東近郊にはないと思います。今回参加者全員大満足のツアーでした。
桧枝岐川へはいくつかの支流が流れ込みます。そこそこの大きさの滝も2,3ありましたが、透明度の高い非常に美しい水が流れ込んでいます。
秋にはこの景色が文字通り黄金色に染まっているでしょう。秋に必ず戻ってくると誓った瞬間です。
昼食を食べる頃には青空が見え始めました。
途中で深い渓谷に入っていきます。午後になって濁りはだいぶ取れました。
しかし核心部はまだまだ続きます。
心配された天気も途中で快晴に転じました。増水かつ快晴。この条件は今年4月末に那珂川上流那須地区大増水で下った時と全く同じです。那須地区の増水は巨大なホール祭りでしたが、今回はブラインドドロップ祭りです。素晴らしいリバーランニングと一緒に降下したリバーバディーに乾杯!秋にまた皆で行きましょう。それから漕ぎ残しているUpperとS字ねじりの滝も制覇しましょうね。