2009年8月22日土曜日

アブと闘いながら栃木県湯西川を下る

西川に出撃してきました。一ッ石の水位は8cm。しばらく2-3cm程度の水位が続いたが2週間ほど前に50cm程に増え、その後緩やかに減少し、とうとう8cmまで減ってしまいました。今回の水位、8cmがリバーラン出来る限界水位だと思います。湯西川を漕行するには10cmは欲しいところ。20cm程度が気持ちよく下れる水位です。



湯西川は無色透明。夏の日差しに照らされて輝くような美しさです。こういう川を漕ぐと本当に他の川に行けなくなってしまいます。太陽光は川底を隅々まで照らし、川面がプリズムのように働きながら川の彩りを引き立たせます。川の水はミネラルウォーターのように、滋味が含まれているようにも見えます。



今回は2週間弱の休暇を海外で優雅に過ごし、帰国したばかりの花園氏と二人で栃木県と新潟県の県境に近い湯西川へ出かけました。瀞場をみつけては泳ぎ、また漕ぎ、そして泳ぐという川遊びに徹しました。こういう川下りも夏らしくて実にいいものです。



核心部はいままでで一番水位が低かったせいか、一番目の落ち込みは、普段は避ける右側の大岩直撃ルート以外ありません。大岩で左右に流れは分かれますが、左側のルートはどう考えても無理です。右側の一艇分のルートしか選択肢はありません。これはかなりシビアなコースです。しかしクリーンクリアのイメージしか湧かないので、go, no goで悩まず、そのまま突破。思い描いたコース取りでなんとか無事にクリア。今回はいつもの防水ビデオカメラを忘れてしまい、手持ちのiPhoneで水がかからない場面だけで撮影しました。必然的に殆ど写真を撮っていません。核心部の写真もありません。参考までに前回の核心部をリンクしておきます。前回も水量が少なく、スタックしていますが、今回はこの比ではありません。落ち込みの左側は殆ど水がながれていませんでした。

ビデオで2艇目に出てくるのが花園氏。大岩に乗り上げてバックで右側のルートです。今回はこのルートに艇を落とし込んで行きます。落ち込みの直下に岩がある、悶絶ルートです。リジットに比べて動きが緩慢で、大きいIKを素早く操作するのは本当に難しく、こういった岩場の漕行は気が休まることがありません。ルートをいかに早く読んで、早く操艇出来るかというのがキーです。一方でこれがスリルといえばスリルなんですが。

ところでスロバニアに遠征してカヤックをしている南極3号から、現地のガイドから受けたアドバイスとしてこういうメッセージをもらいました。

(クリーキングの肝は)テクニックではなく、タクティスで下る


当然これはテクニックがなくてもタクティスがあればいいという意味合いではありません。テクニックがある人に対して重要なのはテクニックではなく、タクティスだという意味合いだと思います。そんなレベルに全く達していない僕でもその謂わんとする意味合いはよくわかります。名言ですね。

さて、題記の通り今回はアブにまとわりつかれた川下りとなりました。予想していたので、アブ対策はバッチリ。まずアブはじっとしていると寄ってきます。一匹が集り始めたら、その数が増えていきます。一度集りはじめたら川を下っていても流速に合わせて一緒に下ってきます。しかし、動いているカヤックを目がけて集るということは少ないようです。従ってまずはアブを寄せ付けないように、エディーなどで長居をせず、時々で水中で体温を下げ、汗を洗い流すことも効果があるようです。しかし不幸にして10匹以上のアブに囲まれたら、そのアブを全部まとめて始末します。顔を覆い、呼吸を止めてリバーバディーに殺虫剤をスプレーしてもらいましょう。川を下っているかぎりこれでしばらくアブにつきまとわれることはありません。

殺虫剤もいろいろありますが、Raidで処理すると不思議なことにしばらくアブは寄ってきません。Raidは日本国内で認可されていない成分が含まれているという話を聞いたことがありますが、真偽は定かではありません。いずれにせよ、国産の殺虫剤よりもかなり強力です。(残念ながら日本国内では販売していません。)

処理する前に虫除けを塗るという話もありますが、国産の虫除けはあまりアブには効果が期待出来ないという話を聞きます。効果抜群なのはいわゆるモスキートジュースです。ディート(N,N-Diethyl-m-toluamide) の濃度が高いのですが、肌に直接つけるとかぶれます。最近はディート未使用ながら、モスキートジュース並みの効果のあるものも出ており(どうしても名前が思い出せません。国内でも輸入販売してます。)、試してみるのみいいかもしれません。天敵のオニヤンマのデコイを帽子の上に飾ればアブは寄ってこないという話もありますが、真偽は不明です。




残念ながら湯西川はあと2年でダムに埋没します。今回地元の人に確認したところ、一ッ石より下流が埋没するそうです。核心部は完全に水没してしまうことになります。丁度いいスイミングスポットも、底が透けて見える淵も、すべてダムの中に消えてしまいます。とても残念です。

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