2011年2月9日水曜日

DECの創設者Ken Olsenの死を悼む

つかこの日が来ると理解はしていたが、Kenの突然の訃報に力が抜けた。若かった僕にとっては遠い存在ではあったが、今僕が一人だち出来ているのもDECに拠るところが大きい。1984年に社会人になった僕は、JUNETがやっと東大、東工大で接続される前に、既に社内で自由にDECnetを使えた。当時既にアカウントだけはすべての社員に割り振られていて、情報はメールを通して社員に配布されていた。電子メールがなんとか国内で普及した電子メール元年が1996年頃なので、DECの社内ではそれよりも10年以上前から普通に電子メールを使っていたことになる。いかにDECが進んでいたか今更ながら感心する。

バッチ処理とCP/Mしか使ったことがなかった僕にとって、タイムシェアリングのVMSは衝撃だった。とても美しいOSだと思った。今から30年も前のOSだが、OSの中に既に「フォン」と呼ばれるIMや、BBSが組み込まれていた。VMSは今でもとても思い入れのあるOSだ。

DECのコンピューターの考え方は、当時の汎用機のアンチテーゼであり、自由で、独創的で、画期的だった。自由の利かない汎用機が官僚的なIBMの象徴だとすれば、DECはその真逆のメッセージをアーキテクチャーに潜ませていた。若い僕にとっては、それが自由の象徴のように見えた。

20代後半からマサチューセッツ州の本社で働くことになった僕は、時々Kenと会うことが出来た。Kenは熊のように大きかったような印象がある。彼が成し遂げた偉業がそう見せたのかもしれない。

僕は、コンパックの買収によってDECは消滅したとは思っていなかった。Kenの死をもってDECは完全に歴史となってしまった。いままでの彼の貢献に感謝したい。KenとDEC無しでは、今の僕は存在しなかった。ありがとう、Mr. Olsen。

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