秩父市内を過ぎると140号線から見え隠れする荒川はいつのまにか急峻な谷間に荒く、雄々しい巨岩を敷き詰めた渓谷相に一変します。長瀞を流れる荒川とは別の川のようです。この区間を下ったパドラーはそれ程多くいません。したがって記録も非常に少ないですが、いつものようにラナパパが素晴らしい紀行文とリバーマップを残しています。とても参考になるので、ぜひ目を通してみてください。少し古いですが、こちらも同様に参考になる資料です。
以下、ラナパパのリバーマップです。こういった資料性の高い地図を川下りする度に作成しているラナパパには頭が下がります。パドラーのコミュニティーへの貢献を考えると表彰ものだと思います。
View 荒川(道の駅大滝~高砂橋) in a larger map
さて、今回の漕行区間は落合堰堤下、道の駅大滝温泉から大洞第二堰堤(セクション1)を越え、強石堰堤(セクション2)までの約7Kmの区間です。前半のセクション1は全長5Km。鳩ノ巣渓谷や丹波川を連想する区間です。難易度は、丹波川を下れれば問題なく下れる区間だと思います。問題はセクション2です。僅か2Kmの区間ですが物理的に艇を通せない区間や、嫌らしいシーブ、ピンニングしそうなポイントなど激辛のスパイス満載の区間で、かなりチャレンジングなセクションです。この区間はポーテージするにしても足場が悪く、体力はかなり消耗します。周辺の谷も登攀技術がなければ登り上がれない絶壁で、大洞第二堰堤より先は漕ぎ出したら引き戻れないと思った方がいいでしょう。
道の駅大滝温泉。施設の裏側から川へは楽にアクセス出来ます。
セクション1は鳩ノ巣渓谷と丹波川を足したような川相です。ところどころドロップがありますが、セクション2に比べれば余裕で下れる区間です。
お昼も南極3号のノルウェーツアーの話を聞きながら楽しく談笑しました。ここまでは余裕。この先がかなりハードだとは知らされていましたが、あそこまでハードとは。
C5新人男優賞の最有力候補、ベビトラの新人、Nさん。
丹波川を彷彿させる渓相です。丹波川を下れればストレスなくセクション1は下れます。
大洞第二堰堤を下ります。これより先2Kmは覚悟をもって下る必要があります。ここから先はプロのガイドと下ることを強くお薦めします。
堰堤より下、2Kmの区間は実は柳本さんも下見をしておらず、全員で一緒にスカウティングしながら下りしました。11時にスタートしましたが、途中で昼食休憩を小一時間とった以外はトラブルもドラマも全く無かったにも関わらずテイクアウト地点で既に6時を過ぎていました。最後の担ぎ上げも丹波川並の急勾配を登ります。呼吸は乱れ、心臓はドクドク音をたて、重いクリーク艇を担ぐ肩が悲鳴上げるか上げないかというタイミングでようやく林道へ。刑期を終えて娑婆に戻った心境でした。しかし達成感があるのです。担ぎも登りも瀬も、微妙な調合で仕込まれていて、クリーキングの楽しさを満喫出来る区間だと思います。しかし、このセクション2は総合リスクがかなり高いと思います。カヤッキングの技術だけでは対応出来ないリスクがあります。この区間はプロのアウトフィッターのガイド付きで下ることを強くお勧めします。
セクション2はいきなりコース取りが難しくなります。真剣に川を読むヤリサ嬢と、余裕のクリークガールズセンターポジション、南極3号!
セクション2は道路から殆ど見えません。漕いだことがある人しかわからない世界。
左右どちらにいってもドロップしてシーブです。全員ポーテージ。
ハードなセクションでも、クリークガールズは笑顔を絶やしません。
スティーブ フィシャーでもここは通れません。艇が抜けません。ここもポーテージ。クリーク艇の重さが肩に食い込みます。
Nさん、気迫のパドリングです。度胸があります。君もアドレナリンジャンキーなんだ。
ドロップして問題ないか、慎重にスカウティング。Class 5のツアーに参加しなければここにはこれなかったと思います。
とにかく大岩だらけ。柳本さんの模範漕行。
エベレスト登山の経験もあり、山岳登山経験の豊富な南極3号は身のこなしも実に軽やか。さすがだな。
最後にメンバー紹介です。ノルウェーでG17のツアーに参加してきたばかりの南極3号、千葉から参戦してきたおなじみのヤリサ嬢。そしてベビトラ所属でC5の新人男優賞最右翼という呼び声高い、まだリバーネームがないNさん。C5で数々の逸話を残す南極3号、ほりほりに対抗する強力な男性の出現です。今回もこの悶絶区間を根性の漕ぎっぷりでクリア。カヤックを始めて間もないのに、Nさんは既に3.7Mの水上も下っています。もうこんな所まで来ちゃって凄いとしか言いようがありません。アドレナリンジャンキーな性格はC5の2大女傑に通じるものがあります。感服しました。
荒川大滝温泉セクションは、なかなかスリリングな区間です。特にセクション2はご覧の通りの悶絶区間です。今回は全員ファーストディセントで手こずりましたが、次回はもう少し手際よく下れそうです。この区間は予備パドルも含め、完璧な装備で挑む必要があります。気軽に下れる区間ではないので十分注意してください。
10 件のコメント:
actonさん、迫真のレポートありがとうございました。文章と写真のリズムが快適で最後まで一気に楽しませて頂きました。この感じですと、後半だけのclass5ツアーに参加するか、前半だけ自分たちで楽しむかのどちらかですね。
仙人さん、コメントありがとうございます。この区間はスリリングで本当に楽しいです。今回テイクアウトした地点から三峰口までのセクション、三峰口から先のセクションとまだまだ楽しめそうな区間が沢山あります。C5でまた企画してくれると思うので、皆でまた行きましょう。ここ、本当に楽しいですよ!
いやぁ~ココも凄いですね。
HERO買ったので活用しないと。
よういちさん、ここは日程が合えばぜひ次のツアーに参加した方がいいと思います。かなり大変な区間ですが、なんとも言えない達成感を感じます。秋には必ずここのツアーをやってくれると思いますので、一緒に行きましょう。
前に一緒だった時に、Nさんが「カヤック始めて6回目。御岳は初めてだけど放水口からいきます~」と話していましたが・・・こんな滝まで下っていたとは~!
苗字のNagaSawaに、ノン(N)ストップ(S)が入っているのは偶然でしょうか(笑)
センチメンタル番長さん、コメントありがとうございます。Non Stopですね。確かに名前にNS入ってますね。少し背伸びしながらでも難しい川で漕ぐと確実にスキルアップすると思うのですが、Nさんは良い例ですね。
厳しい川ですね。
大変そうですが行ってみたい。
上手になるには上手い人と厳しい川に行くのが一番です。
DOHAさん、コメントありがとうございます。同意です。少し背伸びするぐらいではないとなかなか上達しないものですよね、何事も。
毎度さすが情報満載、きれいな写真てんこ盛りですね。なかなかハードな1日でしたが、貴重な経験でした。クリーク気分満喫でしたね。アフターの焼き肉屋も楽しかったです。おつかれさまでした!
南極3号、コメントありがとうございます。いや-、充実した一日でしたね。また行きたいね。それから、焼肉の〆、goodでした。ありがとうございます。
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