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2009年12月28日月曜日

桧枝岐物語

009年と振り返ると、カヤックを通して出会った仲間との出会いこそ今年一番の収穫だったと思います。とりわけその仲間との結びつきを強くしたのが、福島県桧枝岐村を流れる、桧枝岐川との巡り合わせだったと思います。絆を深めたのはカヤックであり、桧枝岐という土地が持つ縁で我々は引き寄せられたのかもしれません。

今年は松岡正剛さんのお話を伺う機会があり、阿弥陀如来からアラン・ケイまで網羅する博学と、博識をナイフに現代を切り刻む分析能力には、神と崇めざる得ません。彼の話や、著作に触れる事がなければ、ただ漫然と川下りをする単なる中年カヤッカーだったと思います。素人が素朴な民俗学的な切り口で旅先の土地に纏わる歴史を調べ、思いを馳せる、こんなきっかけを作ってくれたのが松岡正剛さんであり、松岡さんのお話を聞かなければカヤック以外の目線でで桧枝岐を語ることは無かったと思います。

そしてそもそも桧枝岐川に注目するきっかけを作ってくれたのが、伝説の七厘会。S字ねじりの滝を生身の人間が下ったり、屏風岩より上流の悶絶絶叫区間を沈脱しながら下ったり...抱腹絶倒しながら何度も読み返しました。(七厘会のブログは残念ながら閉鎖されてしまったようです。キャッシュは残っていますので、かろうじて読めますが。)

そんな事を考えながら夜中に一人ホッピーを飲んでいると(ホッピーは今年のマイブームです。有名な山川さんのブログに頻繁に登場するので、飲み始めました!)仲間のカヤック仙人からずっと借りていた斉藤弥四郎著の桧枝岐物語を急に読み直したくなり、再び一気に読みました。

桧枝岐物語は各章が独立していて、どの章からでも気軽に読めます。どの章も著者がいつくしむ桧枝岐が暖かいタッチで書かれています。その中でも特に食に関する章は興味津々。桧枝岐の裁ちそばはそばつゆが違う。そのだしの秘密とは? 本当に食べられなかったはっとうの秘話。つめっこと一緒に煮込む珍しい食材は?食から土地を理解するのは一番敷居が低くて楽しいですね。もちろん、風土、風習についてもとても読みやすく書かれています。桧枝岐川を下る前には、ぜひこの本を読んでから下ることをお勧めします。(残念ながら桧枝岐物語は絶版のようです。Amazonからusedで購入出来ます。柿の種仙人さん、貴重な本をお借りしています。新年初川下りでお返しします。)

2009年12月23日水曜日

それは「ボートの外」のこと

NBCの花形スポーツキャスターだった著者は、ソールオリンピック、バルセロナオリンピックではオリンピックの花とも言える陸上競技、水泳を担当した。しかしその後のアトランタオリンピックではボート、カヌー、カヤック担当。これらの競技を見るのは選手とその家族ぐらいで、おまけに放送時間は朝の7時。失意のどん底に落とされた。

不本意ではあるが競技を全く知らない著者は、競技を知るために選手達に無邪気な質問をし始めた。まずは初歩的な質問。「もし雨になったらどうするんですか」すると、「それは僕のボートの外のことだから」という答えが返ってきた。

「もし風にあおられたら」....「それはボートの外のことさ」
「オールが折れてしまったら」...「そうなったらもうボートの外の話さ」

著者がようやく理解したことは、ボート選手達の関心は自分の力が及ぶことだけに限られている。それはオリンピックでメダルを取ることであり、ボートの中にはそれしかなかった。「それは僕のボートの外のことさ」この答えこそとても大事な生き方のヒントだった....

That's outside my boat「それはボートの外のはなし」。自分がコントロール出来ないことに惑わされない、というテーマで著名人の逸話が55集められている。読者の精神状態とうまくシンクすれば、心休まるかもしれません。テーマの設定以外にはカヤックネタは出てきません。既に絶版です。Amazonでusedを購入。

2009年12月14日月曜日

スティーブ・ジョブズ 神の策略

しぶりに面白い本を読みました。平積みされていたスティーブジョブスの新刊です。

スティーブジョブス信奉者は主にイノベーション、リーダーシップという切り口で時代を変えてきた、憎めない狂気のパラノイアを因数分解しようとします。僕には彼の足跡は権力闘争の歴史として写りました。組織はある階層を越えると欺瞞と疑心暗鬼が支配する権力闘争の場です。このある階層を越えなければ、決して見えてこない薄汚い世界。この世界を肯定して、イノベーションとリーダーシップを抱えて真っ正面から自ら戦った男の戦いの書です。

各章のタイトルが刺激的、挑発的です。ノンフィクションというジャンルですが、どこか劇画的な記述と章の最後の教訓に多少の演出を感じます。綺麗事など言ってられない世界で指揮を執っている方は、スティーブの生き方を知れば勇気が湧いてくるでしょう。もちろんi-phone, i-podが生まれたイノベーションの核心に迫りたい方もどうぞ。