2011年6月23日木曜日

東日本遠征那珂川上流編:クリークガールズ参上

征の始まり

今年6月にUSカヤックツアーを企画していました。日本からもアクセスが悪くないカリフォルニアの州都、サクラメント。サクラメントから車で1-2時間の範囲には、実はYouTubeでちょくちょく見かける有名な川が沢山あります。昨年の北海道遠征に引き続き今年は吉野遠征という話でツアー話はスタートしたのですが、僕が幹事を引き受け目的地を変更し、土地勘のあるカリフォルニアに遠征することになりました。

それなりの時間をかけて調べ、何度か現地カヤッカーとも連絡を取ってガイドを引き受けてくれるアウトフィッターを選び、内容をつめ始めたタイミングで不幸な震災に見舞われました。公共性、社会性の高い仕事に携わっている仲間も多く、長期の休暇が難しくなりUSツアーはやむなく来年に延期となりました。しかし半年以上前に折角押さえた休暇があるので、期間を短縮して震災の影響を受けた東北、北関東の川を漕ぐことになりました。これがそもそもの今回の遠征の始まりです。

6月18日土曜日。まず最初に向かった川が那珂川です。那珂川は関東では定番のツアーリバーですが、ことその上流となると漕がれた経験のある方は少ないのではないでしょうか。この区間は水位によって大きく表情を変える川です。川相については、「那珂川上流 カヤック」で検索して頂ければ参考になるサイトが沢山出てきます。


有名なラナパパが作った那珂川上流のリバーマップ。


大きな地図で見る
那珂川上流は視界がとても広がっていて、那須連峰のパノラマを背中にして下る雄大さがあります。何となく陰気なクリーク系の川にあっては異色の存在です。水位によって大きく表情を変える川ですが、前半はロックンロール。しかしその瀬も突然大きなウェーブやホールに変わります。今回は残念ながら水位が低く、ホールやウェーブにはお目にかかれませんでした。

2009年4月に出撃した時の写真。大雨後の増水のコンディション。写真は元やん。増水しても水が濁らないのに驚きました。当日の水位だと、いたる所に大きなホールやウェーブができます。当日の黒羽の水位は130cm。今回は平常時に近い68cm。因みにゴールの疎水公園で計測した放射線量は0.65μSv/H。約1mの高さで計測しました。報道の通りホットスポットになっているようです。今回は線量計を持参して計測しながら下りました。


















核心部イカの瀬のスカウティングも楽しそうです。

これが噂のクリークガールズ。今回はリーダー格の南極3号が足りない。




























今回は女性の参加率が多くてびっくりしました。那珂川上流はロックンロールなクリーキーなセクションや、水量によっては巨大ウェーブ、ホールが出来る区間で一筋縄ではいきません。今回参加したクリークガールズは蝶が舞うように瀬を渡り、蜂が刺すようにエディーを取り、しかし薔薇の気高さと美しさで那須の雄大な自然の中で圧倒的な存在感を示しました。実は那珂川での彼女達の華麗な舞を見た我々は、それが単なる予告編に過ぎないことが桧枝岐川で判明するのです。(つづく)

追記:那珂川上流は御岳よりレベルが上の川です。この川を下った経験者が同伴してレスキュー体制をしっかり整えて下るか、Class5カエルアドベンチャーのガイドで付きで下ることをお勧めします。なお、黒磯カヌークラブからもこの区間の危険情報が出ていますので、参考にしてください。

2011年6月15日水曜日

雄叫び共に水上を下る

6月12日はC5のツアーで水上に出撃してきました。利根川に出撃するのは今年2回目です。3月末に雪解けの赤城コースを堪能しましたが、今回は定番の水上コース。奥利根スキー場から銚子橋までのスリリングなコースを下ります。C5の水上ツアーは人気が高く、前回開催時は定員一杯で無念の門前払い。今度こそと心に決めていたものの、雨の予報が気になり申し込みをずっと引っ張っていました。実は僕は雨には滅法弱く、雨が降ったらActonは来ないという都市伝説さえ存在します。今回は日曜日は雨の予想でしたが、突然予報が晴れに変わりました。湯原の水位も土曜日の時点で330cmという丁度いい按配です。この二つの条件がマッチしていたので、土曜日に御岳で漕いでから慌てて柳本さんに連絡して申し込みました。



















前回のC5ツアーの水位は360cm。結構な水位ですね。350cm以上だと自主規制でラフトも出さない水位と聞いていますので、この水位は爆裂状態。ダイナマイト、マダムキラーではC5の常連さん4名で、賑やかな祭りが開催されたそうです。

今回の水位は漕ぎ出しで325cm。水位も先週に比較して大分落ち着きました。そして何より天気が良かった。決して快晴ではありませんが、薄日が川面に差し込む風情のある天候です。必然的に心拍数は増え、アドレナリン増量。こうなると声が自然と湧き出てきます、まるで中学の部活の時のように。だだあの当時の紅顔の美少年が全員50代になっただけなんです。何かが喉に絡んだような、ドーオっと言うオヤジ達の雄叫び。浮世の垢で汚れた声は、美しくはありません。しかし紅葉峡に突入する前の雄叫びで気合は十分です。これでいいんです。因みに今回の参加者は、へたっぴカヤッカー柿の種仙人府中人。どの面見ても、いぶし銀のいいオヤジ達です。

柿の種仙人の動画です。Qさんと並んでカヤック界の動画二大巨頭です。





















水量は先週よりは減ったとはいえ、ウェーブはデカイし、ホールもデカイ。今回はエディーを取りながら丁寧に下りました。



























































































今回は大きな祭りはありませんでしたが、踊り子1名が2回程祭りを開催しました。流石に柳本さんは前回踊り子4名同時祭りを捌いたただに、あれだけの流れでも人も艇も即座に回収し全体のペースが崩れることはありませんでした。あの荒れ狂う水上で、慌てず、確実にレスキューをこなせる人はそんなに多くないと思います。いいカヤックアウトフィッターの第一条件はレスキューのスピードと技だと思います。柳本さんは、この点はピカ一ですね。

水上は不幸な事故が何度も起きている区間なので、完璧なレスキュー体制を整えるかClass5のようなアウトフィッターにガイドしてもらうことをお薦めします。


みなさんお疲れ様。次回は桧枝岐だ!

2011年6月10日金曜日

幻の増水:大芦川

近ブログの更新頻度が下がっているとの指摘を何名かの友人から受けております。川に行っていなかった訳ではありません。ネタが無かったわけでもないのです。定番の御岳、長瀞はもとより、群馬、山梨などにもポツポツと遠征していましたし....。カヤックのログや雑記よりも、もっと重要で書き記さなければいけないものがあるような気がして、ブログは事実上冷温停止状態でした。が、しかし、この週末の陽気でまたラテンのリズムで一気に五感で感じたことをキーボードを通して一気にダンプしてみる気になってきました。とりあえずはリハビリモードということで、よろしくお付き合いください。

週末はC5の水上ツアーに参加する予定でしたが、満員御礼で締め切りとのこと。一人ぐらい増えたっていいじゃないの、柳本さん!とチラリと一人脳内ツイート。しかしこの定員設定、聞くところによるとやはり意味があったようです。前日土曜日の水上ではマダムキラーで参加者7名中、4名沈脱。阿波踊りのお囃子が聞こえ来ます。沈脱祭り。ヤラレンジャー柳本さんは連日の雨と雪代で増水した水上で4名どのようにレスキューしたのでしょうか。ご苦労さまでした。























さて、水上に行けなかった無念を晴らすために日曜日は大芦川へ向かいました。先週の長雨で水位は御幣岩橋で100cmまで増え、本日も70cmの水量。経験上、これだけ水位があると大芦川は桧枝岐川と変わらぬ迫力になるはずだったのですが...。あれ、ちょっと少ないぞ。渇水という程ではありませんが、過去の70cmのイメージからはほど遠い勢い。今までの水位の感覚より15-20cm低いように感じました。協議の結果、水量の少ないアッパーを避けて、ローアーを下ることにしました。区間は生活改善センターから天王橋まで。甘辛交えた区間で、途中には水底が透き通る淵があり、スパイシーではありますが印象としては癒し系の区間です。


























































本日の善男善女は、Woods夫妻、つあさん、OWLさん、へやっぴカヤッカーさん。つあさんは、実は前回の増水時に大芦川のいばホールで無念の負傷。前歯を折って顔面に擦過傷を負う怪我をされており、大芦川はOWLさんは前日土曜日の水上で、泳がれたそうです。そんな二人にとっても大芦川は特別な川なんです。二人それぞれの心の凝りも、美しく心洗われる大芦川を下りながらすっかり洗い流されたようです。























































カヤックのあとは、お約束のお蕎麦。ここ鹿沼はニラ蕎麦が名物。

















大芦川好きです。ここは色々なレベルの人が楽しく下れる川です。何度も同じ事を書いていますが、都内から1時間強程度の距離にある川で、こんなに美しい川は僕が知る限り他にありません。何度でも下りたい素敵な川です。機会があればぜひ下って頂きたい川の一つです。

2011年6月4日土曜日

WC日本代表柳本さん壮行会:Tatsunori Yanagimoto: Play for Japan @ICF Freestyle WC

今のクリークブームの火付け役としてヤラレンジャーこと柳本さん率いるClass 5は、業界でも大分名前が知られるようになりました。一年前に旗揚げしたC5も、聞くところによると初年度としては順調な滑り出しとのこと。正直ハラハラしながら見ていた熱烈な柳本サポーターとしては、一安心です。設立時に柳本さんにどんなアウトフィッターになりたいか聞いたところ、イギリスのGene17のようになりたい、と言ってました。昨今の状況を総合的に判断すると、アウトフィッターとしての方向性、位置づけ共にC5は日本のG17になってきたように感じています。このタイミングでの主催者柳本さんのWC参戦は今後のさらなる発展を予言しているようですね。何はともあれ、日本代表としてPlay出来るなんて、実に名誉な事ではないでしょうか。






































柳本さんの人柄はもちろん、アウトフィッターとしての安全に対するコミットメント、熱意、技術。彼に惹かれるサポーターは沢山いますが、今回その中でも比較的年齢が上で、C5の常連が集まってささやかな壮行会を開催しました。











































































当日の夜に集まったメンバーは通称、桧枝岐クラブと呼ばれています。会長も会則も存在しない、メーリングリストが唯一の実体というグループです。他にもこのクラブのコアメンバーが数名いますが、残念ながら予定があわず無念の欠席。桧枝岐クラブのメンバーはグルメが多く、集まりがあるとレストランの選定は一苦労。今回はそんなグルメの胃袋と舌を満足させるだけではなく、いつも喧しいこの集団を受け入れてくれ、尚かつカジュアルなレストランということでピックアップしたのは丸の内のメキシカン、ムーチョモダンメキシカーノ。思いっきりメキシコを全面に出したカルチャー系アドモスフィアとは全く違った、モダンメキシコ。天井からぶら下がるLEDのアイシクルは、外れるリスクが非常に高い演出だけど上手くまとめています。肝心の料理の方は、日本人向けで馴染みやすいアレンジ。原宿のあの有名店よりもこちらの方が敷居が低くて、個人的に気に入ってます。






















わいわいがやがや、実に楽しく、飲んで、食べて、騒ぎました。この弾けた雰囲気がThe壮行会。肝心の柳本さんは久しぶりの都会に、田舎から状況してきた受験生のような困惑ぶりでした。たまには都内に足を運びましょう!

さて、ワールドカップ。今回柳本さんにはぜひ頑張ってもらいたい。目指すは当然優勝だ。日本から応援してますよ!そうそう、それからネットワークもぜひ広げてくださいね。海外ツアーの企画、期待してますから!

2011年4月29日金曜日

タブーとリスクを考える

ヤックは危険なスポーツです。American WhitewaterのWhitewater fatalitiesによれば、2005年のデータではアメリカ国内で年間38名の方がカヤック、ラフトの事故で命を落としています。日本国内でもアメリカの事例程ではないにせよ、残念ながらホワイトウォーターと呼ばれるカテゴリーで命を落される方がほぼ毎年います。

どんなスポーツでも生命の危険は伴わないにしても、様々なリスクがあります。リスクのコントロールの仕方が技術、スリルであり、勝敗と選手生命を天秤に賭けるような勝負に敢えて挑むのです。
リスクは起こりうる最悪のシナリオと最良のシナリオの間に生まれる可能性があります。カヤックのように時として生命の危険に晒されるスポーツの楽しさは、リスクをコントロールしてチャレンジし、リスクをコントロールした達成感が至福となるわけです。

カヤックは場合によっては危険なスポーツですが、リスクを避ける方法、乗り越える方法、事故が起きた時の対応の方法をスクールや、友人から学ぶことにより安全が確保されます。カヤックをするという事はリスクがあり、最悪のリスクと最良のリスクを常に考えながら川と向かいあうわけです。そしてこのような危険を伴うスポーツであるということは、隠されることなく周知されています。

生きていく限り常にリスクと背中合わせです。病気、自動車、飛行機、地震、火災そして原子力。すべてリスクがあります。事故が起きた際のダメージが大きく、コントロールしなれけばならないリスクがある場合、我々は経験的に最悪のシナリオを想定して準備をします。今回の不幸は最悪のリスクを読み切れていなかった事にあると思います。背景には原子力発電のリスクを公にすることがタブーであったに他ならないと思います。国策である原子力発電の陰の部分に光をあてることの政策上のリスクは、原発事故のリスクよりはるかに大きいと真剣に考えられていたように感じます。起こりうる最悪のシナリオを直視して、その対応を準備することがリスクマネジメントだとしたら、今回の一件はリスクマネジメントの基本が全く出来ていなかったと言っていいでしょう。

原発の是非についてこの場で議論をするつもりはありませんが、原発事故については客観的に示されている放射線データに対して、起こりうる最悪のシナリオを考慮した判断をする必要があると思います。日弁連からこのような声明が出されています。 今、福島の子供達が直面している問題は、我々日本人全体にとっても大変大きなリスクだと思います。最悪の事態を想定するというリスクマネジメントの基本に立ち戻り、子供達の置かれている状況を考える必要があると思います。

子供の命と子孫を守るという判断に、政治や利権などのノイズが入ってはならないと思います。これからの福島の再生を支える子供達のためには、場合によっては前例の有無に関わらず一切妥協の無い歴史的な判断をしなければならないかもしれません。誤った判断を下せば、子々孫々まで語り継がれる事になります。福島の子供達をどうするかという判断は、我々の世代全体の責任として後生まで問われるでしょう。

小佐古敏荘・東京大教授(放射線安全学)が先ほど内閣官房参与の職を辞しました。小中学校などの屋外活動を制限する限界放射線量を年間20ミリシーベルトに決めたことに「とんでもなく高い数値であり、容認したら私の学者生命は終わり。自分の子どもをそんな目に遭わせるのは絶対に嫌だ」「(同程度の被ばくは)原発の放射線業務従事者でも極めて少ない。この数値を乳児、幼児、小学生に求めるのは受け入れ難い」

こういう意見も風評被害を誘発する可能性があるので、やはりタブーとされるのでしょうか。

カヤックのリスクの話がいつのまにかすり替わっていました。震災以来久しぶりにブログを更新したので、どうも筆が滑る傾向にあるようです。失礼しました。